ハムチーズサンド

 

久しぶりに朝の健康的な時間に目覚めて、10秒間ほど「気持ちよく眠れてしまった」と惚けていた。明後日に向けて体が生活リズムを整える準備を開始してくれているのかもしれない。二度寝でもしようかしらと考えたが、窓から差し込む光がきれいだったので起きてみることにした。起きて、そしてハプニングが起こる。

 

昨日の夜見ていたアダムスファミリーがPCのなかに入ったまんま取り出せなくなってしまったのである。検索で「mac dvd 取り出せない」と急いで検索をすると同じ症例で苦しんだと思われる方がさまざまな方法を事細かに書いてくれていたので、それらをひとつひとつ実践してみたのであった。何度再起動したか、何度電源を落としたかわからない。けれど何をしてもダメで、こんなことに煩わされるのが嫌で嫌で仕方なく、パソコンを叩き壊したくなったがそんなことをしたら後が困るからとどまる。けれどこのまま入ったままだとツタヤにDVDを返却することができずに延滞料を取られてしまうので早急にどうにかしたかった。

電源を入れるたびにアダムスファミリーが再生されるので気が狂いそうだったしそしてもう二度とこれを借りることはないだろう。気を紛らわせるため、コインランドリーに行き洗濯物を洗濯機に放り入れた後コンビニでサンドウィッチを買い食べ、コーヒーを飲んで一服をし、ここまでは順調であるにもかかわらず、しかし全くDVDは出てくる気配がない。出てくるまで気長に待つ気でいたが、わたしは少しでも気になることがあるといてもたってもいられなくなる性格で、早く解決しなければ今日を穏やかに過ごすことは非常に難しそうだった。だから、気長に待ってみようと他のことを考えてもやはりDVD取り出し口のボタンを連打していて、まったく気を紛らわせることができなかった。誰かが薄い定規がなんかを差し入れて取り出したという物理的にかなり恐ろしいやり方しか最終手段に残されていない状況で、いてもたってもいられず修理屋に連絡する。まずメールで。「DVDがパソコンから取り出せなくなってしまったので、もしできるようでしたら取り出してほしいのですが・・・・」。こんな風なメールの送り方が合っているのかどうなのかはわからなかったが、連絡をした後すぐに電話がかかってきた。電話に出た相手がいかに表情のない人物かというのが声音や間の置き方ですぐわかり、なんだか嫌な予感がした。案の定で、事情を説明すると馬鹿高い料金で修理を請け負う旨を説明される。ただこのDVDを取り出すだけで、しかも中のハードディスクが壊れているわけでもなさそうなのに、なぜこんなアホなくらい高いお金を払わなければならないのだろう。わざと難しい話に相手が持って行ったので、これは脅しに近い何かだと危機を察したわたしはとりあえず後で伺いますと言って電話を切った。そしてだんだん腹が立ってきて、パソコンを持ち上げ横向きにしポコスカ叩いているとアダムスファミリーがぬんっと差込口から出てきたのであった。ものすごく簡単に出てきてしまったのであった。あの男は修理に時間がかかりしかもパソコンを分解する必要があるなど言っていたが、その電話を切った10秒後に現れたこのDVDを見てなんというのだろうか。もしこのままあの修理屋に持って行って、いかにも簡単にこれが出てしまったとて馬鹿高い料金は取られてしまっただろう!世の中にはぼったくりみたいな人が多いということを今知った。そして自分はかなり無駄な金を今まで払っていた。(それは明らかに私の不注意が大半を占めているので全ての人が悪者ではなく、わたしがしっかりしていればなんとかなった話ではある)まあともかく、アダムスが現れた瞬間はおもわずガッツポーズをしてしまった。早起きした朝にひとりでドタバタとした挙句もう今は眠い。自転車でそこらじゅうを駆け回るか、いなり寿司を作るか、ふたつ先の駅まで行って喫茶店に入り読みかけの本を読むか、いろいろやりたいことはあるがもう力を使い果たしてしまった気がする。そして昨日戯言を書いていたがあれらのことの一切を今は思っていないし、夜と朝っていうのは本当に、まるっきり書くことが違ってくるのでこれまた不思議である。